| 鳥を撮るのはたのしいねぇ、と自覚しだした今日この頃。「バードウォッチ」とか「探鳥」を検索キーにインターネットをサーフするのが新たな日課になった。横浜近郊にイイ鳥撮り場所はないかな〜。ネットをうろうろしていると、「池に来る鳥:カワセミ」と記述された、ある公園の案内ページを発見した。
でもまぁ伝え聞くところに寄ると、カワセミは幻の鳥なのである。山奥に行って1日カワセミを待ってみても、見られないことだってある鳥なのだそうだ(うろ覚えだけど)。そんな鳥がウチからクルマで1時間かからない場所にあるような自然公園で、カンタンに見られるワケない。とはいえ、「カワセミが見られる」なんて書いちゃうぐらいだから、その公園は相当いい場所なのだろう。今週末の目的地決定!
朝6時に起きて、7時前に到着。駐車場にクルマを置き、てろてろ歩く。間近で鳴き声がするくせに、姿をまったく見せないウグイスの卑怯ぶりに激怒しながらしばらく行くと、池の脇に出た。そこには、バズーカ砲のような巨大レンズを構えた人がいる。しかも、何人も。
観察小屋の壁には、その池で撮られたらしいカワセミの写真。へぇー。
池を覗いてみるが、もちろんカワセミなんて影も形もない。きっと、年に数回見られる程度なのだろう。どうせ幻の鳥なんだしね。そそくさと立ち去る。
地獄のように長い階段で急斜面を越え、公園内をうろうろ。途中カラ類の混群に遭遇したものの、サービスのイイ鳥は1羽もおらず収穫ゼロ。がっくり肩を落として歩き続けると、園内を一周して池に戻ってきてしまった。
バズーカ砲の人に、声をかけられる。
「あんたたちが行ったすぐあとに来たよ」
な、なんだとーっ。やっぱりいるんだ、カワセミ。
さっそく池を覗く。……いないじゃん! ホントにいるのか、カワセミなんて。と、半信半疑で池を見ながら、10分ほど経過した頃だろうか。「あ、いた!」と、嫁が叫んだ。カワセミを見つけたらしい。本当は「どこ!? どこ!? どこ!? オレも見てぇーッ!!」という気分なのだが、落ち着いているフリをして「ふーん、どこ?」と、聞いてみる。
が、嫁はカワセミを見るのに夢中で、そんな質問はアウトオブ眼中で完璧無視。ボソッと「あそこの枝のところ」とか言われても、わかんねぇよーーーー!!!
あまりにも頼りない手がかりを元に探してみたものの、見つかるわけもない。そして、しばらくすると「いなくなっちゃった」と言われた。
なになに? ってことは、嫁さんだけカワセミを見れて、オレは見れないの? む、ムカツクーっ! 理不尽な怒りにふるえつつ、池を覗き続ける。もうダメか……と思った頃、向こう岸の葦の中にオレンジと青の物体があることに気付いた。
双眼鏡を覗く。か、か、カワセミだーっ!!!
すぐさま10倍ズーム×1.7倍テレコンのUltra Zoomを取り出し、デジタルズーム最大で撮影……できん。と、遠すぎる。ピントも合いやしない。しばらくすると、カワセミは葦の奥に消え去った。
ガクーっ。せめて、もうちょっと近くで見たいよなぁ〜。
観察窓からモノ欲しげな視線を池に放射しつつ30分ほど待つと、カワセミが再び登場。こんどは、池の真ん中にある筏にとまっている。再び撮影開始。この距離なら、なんとか判別できる大きさの写真になるはずだ。
初めて見た幻の鳥、カワセミ。なんという美しい鳥だろうか。まさに飛ぶ宝石と形容するにふさわしい、羽の鮮やかなブルー。仕草もいちいち愛嬌があって、おもろい。ハマってしまう人がいるのも、本当によくわかる。
そして特筆すべきは、そのサービスの良さである。動かないわけではないのだが、基本的に同じ場所でじっくり留まってくれる。シジュウカラ君も、ちょっとはこの落ち着きを見習いたまえ。
……その日は、カワセミだけで100枚以上を撮った。どの写真も被写体が小さくてピントも合っちゃいない、へなちょこデータだが「カワセミ見れちゃったんだモンねー」というウキウキは、「ヘナチョコ写真でガックシ」という脱力を跳ね返すのに十分以上のパワーを持っていた。
初めて見たカワセミ。その写真を見てひとりニヤける私。
自分がたったいま、時には人生をも破壊するという、青い麻薬を服用してしまったことも知らずに……。
|